2015年 04月 24日
『新書鑑』誌友の方からのご質問につきまして③
『大塚婉嬢作品展』図録より
《臨書につきまして》
臨書についてのお悩みを吐露される方も複数いらっしゃいました。
「原帖と範書が似ているように見えないがどちらを真似たらよいかわからない」
私も以前そういう疑問を持っていましたが今は悩まなくなりましたので私の思うところをお話しさせていただきます。人から聞いたこと、本で読んだこと、自分で感じたことが混ざっておりますことを予めお断りしておきます。
同じ原帖からスタートしても、書く人が異なれば様々な臨書がなされます。
書き手の原帖に対する迫り方の深浅、書き手の運筆力の巧拙もありますし、意臨、形臨という分け方もありますが、いわゆる学書経験の長い方の書かれる臨書について申し上げます。
臨書する人が異なれば、受け取る側の「眼」が異なり、その人の動かす「手」が異なります。動かす「手」は書き手の長年の修練の結果身についたもので線質を形成し、その方の「風」につながっています。
どのように形臨したとしても書く側の「解釈」と「風」が異なれば、出来上がったものはそれぞれ異なります。またすでに自分の「風」をお持ちの方は、自分の「風」の中に臨書する古典の特徴を取り込むという方法で臨書される方もおられます。
原帖への迫り方は様々です。範書が似ていないと感じたときは似ているところと似ていないところを一つ一つ確認されればよいと思います。そこには臨書から創作へのヒントも隠されています。
大塚婉嬢